断食(ファスティング)は、一般的には、短期に行うのはすすめられず、3日以上が推奨されています。
だけど1日断食では全くの意味がないの?って言われるとそういうわけではありません。
もちろんメリットとしては1日断食でも大きな効果があります。
そこで、1日断食をするとどんな効果があるのか?
身体のなかは1日断食中にどんな変化が起きているのか?
そして、その後も続けて3日断食を行うとどんな違いのある変化が起きるのか?どこが1日断食と違うのか?
この記事では、こんな疑問に関して説明していきたいと思います。
1日断食とは?3日断食とはどう違う?
断食をやるのなら、3日以上がおすすめですが、理由があって、1日しか断食をしない、ということもあります。
3日断食を行える体力がない方や、スケジュール的に難しい方、また食べ過ぎた食生活を1日でリセットしたい方にも1日断食は適しています。
まずはそれぞれの断食の目的の違いを説明しましょう。
1日断食の目的
24時間、食事を摂らないようにするのが1日断食で、狙いはとにかく「胃腸を休める」「体のリセット」です。
特に食べ過ぎてしまった日の翌日の体調は、だいたいはよくありません。血糖値も上がりやすくなっているため、そのまま通常生活をしてしまうと食べ過ぎの傾向になり、肥満しやすいカラダになります。
しかし、1日断食を行ってリセットすることで正常な血糖値に安定させる効果があるので、その後通常生活に戻っても大きく食べ過ぎたりすることもなく、体も軽く仕事などの活動がしやすくなります。
3日断食の目的
3日以上の断食をする目的は、デトックスがメインになってきます。
1~2日で体内に残っている食べ物がすっかりなくなり、3日目からは、蓄積していた脂肪や体内にたまっている有害物質の排出が始まります。
ダイエットで減量をされたい方や、体調を改善したい方は3日以上の断食(ファスティング)で達成しやすくなります。
スケジュールや体調が対応できる方は、3日断食はぜひやっておくといいでしょう。
1日断食~3日断食最中の身体の変化
断食をはじめた初日・1日目(24時間)~2日目、3日目までの断食期間中に、起こる体内での変化について紹介します。
グルコースの消費
断食を始めて最初の数時間では、体は最後の食事から得たグルコースをエネルギー源として使用します。
グリコーゲンの使用
グルコースが使い果たされると、体は肝臓で保存されていた短期的なエネルギー備蓄、すなわちグリコーゲンに依存し始めます。これは断食開始後約10~12時間後に起こります。
ケトーシスの開始
グリコーゲンのストックが使い果たされると、体は脂肪酸を使用してエネルギーを生成し始めます。これをケトーシスと呼びます。
脂肪燃焼の増加
断食が24時間を超えると、早い人で2日目からの体はケトーシス状態を保ち、主に脂肪をエネルギー源として利用します。
細胞の自己修復の促進
体が食物から得るエネルギーに依存しない時間帯が増えると、細胞は自己修復のプロセスに移行します。これは細胞の機能を改善し、老化を遅らせる可能性があります。
以上のプロセスは、基本的に体がエネルギーを管理し、細胞の健康を維持するための自然なメカニズムです。
1日断食の効果と3日断食の効果の違い
1日断食では胃腸を休めて身体をリセットすることができますが、3日断食の大きな効果は脂肪を燃焼するので、結果としてカラダに不要なものをデトックスできるようになります。
これは、断食以外ではなかなか実現できない効果です。その仕組みについて詳しく説明します。
断食中に働くホルモンによるアンチエイジング効果
断食を始めると最初に食事から得られるグルコースが消費され、その後にグリコーゲンが利用されます。その過程で、飢餓感を感じるグレリンの分泌が増えます。
そして食事をしない状態が続くと、体は次第にエネルギー源として脂肪を燃焼し、ケトーシス状態に入ります。その間にモチリンの分泌も増え、胃腸の働きを活性化します。
そして、断食の終わりに近づくと、体内のエネルギー状態が低下し、これがサーチュイン遺伝子の活性化を引き起こします。これにより、細胞の自己修復作用が促進され、体の健康が保たれます。
以上の流れで、断食は体内のエネルギー代謝を調整し、体の健康維持につながります。身体の中で働いてくれるホルモンについてもう少し解説しておきます。
グレリン
食事を摂ると通常はグレリンの分泌が抑制されますが、断食を始めると食事がないため、グレリンの分泌が増加します。グレリンの影響で飢餓感が引き起こされます。しかし、断食が続くと体はこの増加したグレリンレベルに適応(慣れる)し、飢餓感は次第に軽減します。
モチリン
モチリンは主に空腹時に分泌され、胃の蠕動を促進し食物の消化を助けます。
断食を始めると、食物が胃腸を通過することがないため、モチリンの分泌は最初は低くなります。しかし、断食が長引くと、体が「食物を消化する準備」を始め、モチリンの分泌が増える可能性があります。
サーチュイン遺伝子
サーチュイン遺伝子はエネルギー代謝、DNAの修復、細胞の生存に重要な役割を果たす一群の遺伝子です。この遺伝子は特にカロリー制限や断食の際に活性化され、細胞の自己修復作用を促進します。
サーチュイン遺伝子は体の健康を保つことや寿命を延ばすことに寄与するといわれ別名若返りホルモンともいわれています。
3日断食の効果・身体の仕組み
1日~2日の断食をそのまま続けていくと、3日目の断食では、体は更に深いケトーシス状態に入ります。
ケトーシス状態になると、より多くの脂肪がエネルギー源として利用されます。
更に、長期断食はオートファジーと呼ばれる細胞のクリーニングプロセスを強化します。
オートファジーは、古くなったり機能しなくなった細胞成分を分解して再利用するプロセスです。オートファジー効果で、体は健康な細胞の機能を維持し、老化プロセスを遅らせます。
また、3日間以上の断食は、免疫システムのリセットにも寄与すると一部の研究で示唆されています。
長期の断食は、古い免疫細胞を破壊し、新しい免疫細胞の生成を刺激する可能性があるので、断食を長く続けることで、細胞の生まれ変わりが始まり、身体の体調の悪かった部分も改善する可能性が高くなります。
長期の断食にはリスクもある
ただ、一方では、長期の断食にはリスクも伴います。
断食期間が長くなると、栄養素の欠乏、筋肉量の喪失、心拍数の減少、血圧の低下などの問題が発生する可能性があります。個々の普段の生活スタイルや食生活の影響もあり、不調も出やすいのが長期の断食です。
つまり、長期断食を始める前には必ず医師や専門の断食(ファスティング)アドバイザーに相談することを強くお勧めします。
1日断食と3日断食のどちらかを選ぶポイント
1日断食も3日断食にも、身体の「クリーニング」や「リセット」ができますが、どちらを選ぶべきかのポイントを紹介します。
1日断食は内臓を休めて身体をリセット
1日断食には、体の内部の「クリーニング」を促進でき、潜在的にも健康上のメリットがあります。
特に、1日断食は体内のインスリン感受性を向上させます。
食事の摂取を制限することで、私たちの体が血糖値を管理するのに役立つインスリンの効果を高めることを意味します。これは、体重の管理と2型糖尿病の予防に有益ですが血糖値の安定につながるので、食欲の安定にも効果があります。
断食中は内臓を「休ませる」ことができるので、消化に集中するのではなく、代謝にエネルギーを使えるようになります。
食べ過ぎたあとは1日断食をして身体をリセットする、習慣をつけることで痩せやすい体質をつくりやすくなります。
3日断食は前後あわせて9日間必要
3日以上の長期断食にはとても強力な効果があると言われていて、ダイエットや体質改善を早くしたい方には向いています。
体は断食の初日からエネルギー源として脂肪を燃焼するように切り替えますが、約72時間後にはケトーシスと呼ばれる状態に達します。
これは体が主にケトンというエネルギー源を利用する状態で、脳機能の改善や炎症の減少など、さらに多くの健康上の利益をもたらすとされています。
しかし、長期断食には十分な準備と回復期間が必要です。
準備期間には、少なくとも数日間は食事量を徐々に減らし、体を断食に適応させる必要があります。同様に、断食後の回復期間も重要で、すぐに大量の食事を摂るのではなく、徐々に食事量を増やしていくことで、体が再び正常な食事に適応できるようにする必要があります。
つまり、3日間の断食では、準備期間と回復期間を合わせて最低でも9日間が必要となるのです。長期の断食は必ず医師の指導の下で行わなければなりません。また、個々の健康状態やニーズにより、長期の断食は必ずしも全ての人に適しているわけではないため、自己判断で行うべきではありません。
そういう意味でも3日以上の断食はハードルが高くなってきます。できるだけ専門家の元でアドバイスをしてもらいながら始めるのがおすすめです。
1日断食をする前に注意しておきたい点
1日断食をする前になにか注意しておくべき点はあるのでしょうか。注意ポイントをいくつか紹介しておきます。
①準備食は不要か?
1日断食といっても結局は断食(ファスティング)なんだから、本来の3日断食を行う場合と同じ考え方なので、準備食を意識したほうが良いです。
しかし、過食してしまった胃腸をやすめる目的では、準備食を考えている余裕はないと思います。
その場合は仕方ないので、いきなり準備食なして1日断食はOKです。
ただ、断食中は「消化」の働きを休めるため、次のものは前日もなるべく控えるようにしましょう。
- 喫煙・飲酒
- コーヒーやエナジードリンク
- カフェインを含む緑茶やお茶類の多飲
- 満腹・過食
以上のものを摂取すると断食の初日は好転反応が起こりやすく、頭痛や吐き気など体調を崩してしまいやすくなります。
明日は1日断食しようと思ったら、上記のものは摂取しないようにしましょう。
ファスティング初日に起こりやすい頭痛について書いています↓
②回復食について
一方、回復食は1日断食の後も同じように行いましょう。
ただ、3日断食のように3日間もやる必要はありません。
最初の食事だけは量を減らして消化の良い食品にして、2回目以降の食事から通常食にしても大丈夫。
ただし、1日断食の翌日からお酒や脂っこい食べ物やスイーツ三昧というのはやめましょうね。節度をもって食べてくださいね。
③どのくらいの頻度でやるべきか
1日断食の頻度については、個々の健康状態や目標、ライフスタイルによって変わります。
ただ、定期的に1日断食は行っていいので、月1回の1日断食でうまくいくようなら週1回の1日断食へと増やして、積極的に取り入れるとよいでしょう。
④ファスティング用ドリンク
1日断食中、水だけで持つ方もいるでしょうが、まったく栄養素を入れないで行うと、翌日以降の血糖値が不安定になりやすくなります。
できるだけ酵素ドリンクを活用して1日断食を上手に過ごすようにしましょう。
良い酵素ドリンク選びの記事はこちらで書いています。
1日断食でよくある疑問
1日断食を始めるにあたって、疑問がでてきそうなものをピックアップして解説していきます。
①断食中の水分補給
1日断食中でも水分補給はしっかり2L以上とってください。脱水を防ぐためにも、水やカフェインが入っていないルイボスティーや番茶、柿茶なら飲めます。
②断食中に運動はできるか
軽い運動なら問題ありませんが、断食中は体力が低下する可能性があるので、ハードな運動は避ける方が良いでしょう。ウォーキングや軽いストレッチなどがおすすめです。
③断食中に頭痛やめまい、空腹感などの体調不良が出たら?
断食中に体調不良を感じ、それが続いてしまう場合は、断食を中止したほうがいい場合があります。
その時は、回復食をとるようにゆっくりと標準食の戻すことが良いです。体調が悪化する場合は医療専門家に連絡してください。
回復食についてのレシピはこちらの記事を参考にしてみてください↓
>>3日断食後の最適な回復食メニューはこちら!
④断食は体に悪影響を及ぼす?
正しく行われる断食は、健康の維持・向上に役立つといわれています。しかし、栄養不足や過度のストレスが体に悪影響を及ぼす可能性があるため、断食の方法と期間を適切に選び、体調をしっかりとチェックすることが重要です。
すでに持病を抱えている人は特に一人ですすめないこと。
また、妊娠中、授乳中の人、成長期の子供は断食によるリスクが大きいので、基本的に断食は行えません。
⑤1日断食後、どのように食事を再開すれば良いの?
1日断食後の最初の食事は、体にとって優しく、消化しやすいものが最適です。お粥、果物や野菜のスープ、発酵食品などがおすすめです。最初は少量から始め、徐々に食事の量を増やしていくと良いでしょう。
⑥朝から夜までのスケジュールでなくてもいいか
1日断食は基本的に24時間ダイエットと考えてよいです。
お仕事の都合で朝から始めることができない人は夜からはじめて、翌日の昼まで食事を抜くというのでもいいし、そのまま夜食も抜いて30時間断食という感じにアレンジしてもOKです。
まとめ
1日断食の効果は3日断食と比べてしまうと劣ってしまう印象ですが、週に1回、一日断食を繰りかえすというやり方でも十分な健康効果があります。
実際に1日断食を毎週1回取り入れて数か月で、体重が10キロ以上減ったり、アレルギーが改善してしまったという人もたくさんいます。
もともと病気を持っている方は、特にいきなり長期間の断食は厳しいので、まずは1日断食をやってみて、身体の感じがどう変化するのか試してみるといいでしょう。
ファスティングダイエットの成功者について、こちらの記事で紹介しています↓